建設業許可申請に裏ワザは存在しない
建設業許可を取るには、経営経験であったり、実務経験、資格、お金といった色々なものを要求されます。
今まで100人以上の方々のご相談をお受けしてきましたが、その中で、どうやっても許可が取れないというケースもありました。
具体的には
開業したばかりで経営経験が足りない(経営経験がある人を役員や支配人にすることもできない)
前職の社長とケンカ別れしてしまい、証明書がもらえない、などなど。
そういった場合、「何か裏ワザはないんですか!?」と求められるのですが、残念ながら裏ワザはありません。。。
専門家だから秘密のノウハウを持っているのでは、、、と思われるかもしれませんが、本当にないのです。ある、とすればそれは虚偽や不正な方法ということになってしまうでしょう。
そういう意味ではまったくもって我々行政書士は融通の利く存在でありません。
ただ、建設業許可申請のルールは、誤解されている部分が多いのも事実です。
たとえば、
『経営業務の管理責任者』に必要な経営経験は5年以上ですが、個人事業主と会社役員としての経験は合算できる、であったり
『専任技術者』に必要な実務経験は原則10年ですが、高校の建築科などを卒業されていれば5年に短縮できる、など
行政書士でも建設業許可申請が専門でないと、間違って「許可は取れません」とアドバイスしてしまう場合もあります。
こういったことは裏ワザでも何でもなく、正確な知識と場数の違いがあるだけです。なので、そういう意味では、「許可が取れない」と思っても専門家に納得いくまでご相談頂いたほうが良いと思います。
私のお客さんで、75歳を過ぎても現役の職人で内装業をされているスーパーマンの方がいますが、その方が言われた言葉が印象的でしたので、最後にシェアしたいと思います。
『この仕事(建設業)はマジメじゃないと続かないよ』
残高証明書は複数の金融機関を足したものでも良いのか?【群馬県版】
建設業許可の重要な要件の一つに、財産要件があります。
これは、『預金の残高が500万円以上ある』という残高証明書を提出することでクリアできます。(直近の決算書で貸借対照表の純資産の部が500万円以上でもOK)
この残高証明書ですが、一つの金融機関で500万円以上のものが取れる場合はもちろん、複数の金融機関のものを合計したものでもOKです。
たとえば、群馬銀行で300万円の残高証明書、東和銀行で200万円の残高証明書が取れれば、合わせて500万円になるのでクリアです。
ただし、残高証明書の証明日は同じである必要があります。
また、残高がある口座の種類は関係なく、普通預金だけでなく、当座預金や定期預金のものでもOKです。
残高証明書の有効期限は、証明日から1ヶ月以内なので、こちらもあわせてご確認ください。
kensetsugyoukyoka.hatenablog.com
法人成りをして建設業許可番号を引き継ぐには?【群馬県版】
昨年、建設業許可を取った個人事業主のお客様が法人成り(会社設立)をしました。
法人成りすると、個人で取得した建設業許可は廃業し、法人として新規で建設業許可を取り直さないといけません。(令和2年10月1日建設業法改正により個人から法人への許可の承継が認められることとなりました)
その際、建設業許可証の番号は変わってしまうのか?という質問をよく頂きます。
結論から言いますと、条件付きで個人のときの許可番号を法人に引き継ぐことは可能です。
群馬県の場合、以下の要件をすべて満たすと許可番号を法人に引き継ぐことができます。
- 許可を持っていた元個人事業主が、法人の代表取締役(代表社員)になっていること
- 許可を持っていた元個人事業主が、法人の過半数の株式を所有していること
- 事業年度が継続していること(個人事業を廃業して数年した後に法人成りしたような場合はダメ)
- 個人の建設業許可を廃業すること(法人の申請と同時に廃業届を提出)
- 個人事業主であった間、建設業法で規定する変更届出書(決算等)を適正に提出していること
1、2は法人設立登記をする段階で、司法書士と打ち合わせをしてしっかりと準備しておかなければいけません。ただ、司法書士は建設業許可の専門家ではないので、こういった話を知らない方がほとんどだと思います。なので、法人設立登記をする前から建設業許可専門の行政書士にも相談することをおススメします。
一番気を付けないといけないのは、5でしょうか。
許可業者さんの中には、決算終了後4ヶ月以内に変更届出書を提出しないといけませんが、この期限を守らずに、5年毎の更新時にまとめて提出する、という方がいます。
そういった建設業法で規定された期間内にまじめに届出をしない業者さんには、許可番号の引継ぎを認めてくれないのです。(これはうっかり許可更新を忘れて、新規で許可を取り直す場合にも同じ扱いです)
過去の行いはやり直しがきかないので、特に、現在個人事業主さんで将来的に法人成りを検討されている方は注意が必要です。