解体工事業の業種追加はお済みですか?【平成31年5月31日まで】
とび・土工工事業の許可では解体工事ができなくなる!?
平成28年6月1日に改正建設業法が施行され、それまで28あった業種区分に『解体工事業』が追加され、29業種に増えました。
それまで『工作物の解体』で500万円を超える工事は、とび・土工工事業の建設業許可が必要でしたが、この法律改正によって、『工作物の解体』はとび・土工工事業の許可ではなく、解体工事業の許可が必要になりました。
ただし、平成28年6月1日時点でとび・土工工事業の許可を持っている場合(旧とび・土工)は猶予期間があり、施行日から3年以内(平成31年5月31日まで)は、暫定的にとび・土工工事業の許可で500万円を超える解体工事を請け負うことができます。
なので、旧とび・土工の許可を持っている土木・解体業者さんは、平成31年5月31日までに解体工事業の業種追加をしないと、500万円を超える解体工事は請け負えなくなってしまいます。
また、請負金額が500万円未満の解体工事であっても、解体工事業登録が必要になります。
(ただし、建築工事業、土木工事業、解体工事業の建設業許可を持っていれば不要です。
旧とび・土工を持っている業者さんは、平成31年5月31日までは登録不要です。)
このように、法改正の影響でかなり複雑な状況になってしまっています。
解体工事業の業種追加をするには??
通常の建設業許可と同様の要件が必要で
経営業務の管理責任者
専任技術者を営業所に置く必要があります。
経営業務の管理責任者の要件は、とび・土工事業の許可を持って6年以上経営している業者さんであれば問題ないと思います。
専任技術者の方は複雑です。国家資格者がいる場合とそうでない場合で解説します。
◆国家資格者がいる場合
まず、平成28年6月1日時点で、国家資格でとび・土工工事業の専任技術者の要件を満たしている場合、平成33年3月31日までは、同じ資格で解体工事業の専任技術者になることができます。
ただし、平成33年4月1日以降は、解体工事業で認められる国家資格だけに限定され、資格者であっても実務経験や講習が必要になる場合があります。
・・・自分で書いていても複雑なので例を挙げてみます(汗)
(例)とび・土工工事業の許可業者 専任技術者:二級土木施工管理技士の資格者
平成33年3月31日まで ⇒ 解体工事業の専任技術者になることができます。
平成33年4月1日以降 ⇒ 平成27年度までの合格者は1年以上の解体工事の実務経験または登録解体工事講習を受けないと専任技術者になれません。
ちなみに登録解体工事講習は
という団体が実施していますが、常に混み合っていてなかなか受講できません・・・。
解体工事の実務経験が1年以上あるのであれば、その方が早いと思います。
◆国家資格者がいない場合
この場合は、実務経験で要件を満たせるかどうかがポイントになります。
高校・大学等の指定学科を卒業しているのでなければ、解体工事の実務経験が10年以上必要になります。
ん~、書いていてすごく大変でした・・・
たぶん読むのもすごく疲れると思います。
よくわからん!という方は、当事務所にご相談ください。
建設業許可は資格がないと取れないのか?【群馬県版】
国家資格か実務経験
建設業許可を取るには、営業所に常勤の『専任技術者』を置く必要があります。
専任技術者になるには、
・業種ごとに認められている国家資格
または
・実務経験10年(高校等の指定学科を卒業していれば短縮可能)
のどちらかがあれば良いことになっています。
なので、資格がないからといって、専任技術者になれない=建設業許可が取れないというわけではないのです。
実務経験の証明はすごく大変・・・
ただし、実務経験10年で専任技術者になるのはかなり大変です。
当然、「俺は10年以上この世界で働いてるから実務経験があるんじゃあ!」と言っても認めてもらえません。
この「10年」というのは、月数で数えます。10年は月数で言うと120ヶ月です。
120ヶ月間、工事に関わってきましたよ、ということを証明する必要があるのです。しかも書類で。
具体的には、実務経験証明書という書類があって、今までの現場を1件1件書いていくことになります。
たとえば大工工事の場合
✖✖邸大工工事 ✖✖万円 (工期)平成✖✖年✖月~平成✖✖年✖月✖日
△△邸大工工事 △△万円 (工期)平成△△年△月~平成△△年△月△日
・・・・・
というように延々と書いていきます。
この工期が合計120ヶ月以上あることが必要になります。
経験年数のカウントの仕方は次のようになります。
・工期が平成29年11月1日~平成29年11月30日 → 1ヶ月
・工期が平成29年11月1日~平成29年12月10日 → 2ヶ月
ただし、期間のダブりは認められないので、工期が重なった場合、ダブった期間を余計にはカウントしてもらえません。
たとえば、1月に2件工事をしても1ヶ月の経験にしかなりません。
さらに、実務経験が今の会社ではなく前職のものである場合は、前職の会社にハンコをもらわなければいけませんし、自社で実務経験を証明する場合、工事の裏付け資料(注文書、契約書など)を添付する必要があります。
このように、実務経験10年の証明はとても骨が折れます。
経験を積んだ行政書士でも正直ウンザリするような作業ですが、私はお客さんが喜ぶ顔を見たいので頑張れます。
実務経験が認められない業種もある
このように、資格がなければ実務経験で要件を満たすしかないのですが、実は業種によって実務経験での専任技術者要件を認めていないものがあります。
それは、電気工事業と消防施設工事業です。
建設業許可29種類の内、この2業種だけは国家資格者でなければ専任技術者になることはできません。というのも、建設業法ではない他の法律で、資格者(電気工事士、消防設備士など)を置かなければ業務ができないことになっているからです。
建設業許可って意外と取るの難しいんだな!と思ったら
経営経験の証明方法【群馬県版】
建設業許可に必要な経営経験とは?
建設業許可を取るためには、建設業の経営経験が最低5年以上ある人(経営業務の管理責任者)が必要です。
経営経験てナニ?というところですが、具体的には
・個人事業主(自営業)として建設業をしていた期間
・建設会社の取締役(監査役はNG)をしていた期間
のことをいいます。
個人事業主と会社の取締役の期間を足して5年でもOKです。(個人事業主を2年してから会社にして3年が経っているような場合)
建設業の『経営者』であったことが要求されるので、どんなに長く建設業界にいて現場のことを知り尽くしていたとしても、会社の『従業員』という立場であれば、経営経験はゼロと見られてしまいます。
例外的に、従業員であっても、ゼネコンの支社長や経営の補佐業務に就いていた場合は経営経験を認められる余地がありますが、あくまで例外です。
経営経験の証明方法
許可申請をする際は、口頭で「私は5年以上建設業をやってました」というだけではもちろんダメで、書面で経営経験を証明する必要があります。
具体的な例でいうと、
個人事業主としての経験がある場合は
5年分の確定申告書 + 確定申告と対応する期間に施工した工事の契約書、注文書など
が必要になります。
つまり、個人事業で建設業を5年以上やっていたとしても、確定申告をしていないとその期間は経営経験として認められないのです。
幸い、確定申告は5年前までなら遡って申告することができるので、資料などが残っていて申告ができるのであれば、今からでもすることをオススメします。ただし、所得が出ていた場合は、5年分の税金や国保税などがかかってきてしまうので、税理士さんとよく相談してから決めてください。
会社の取締役として5年以上の経験がある場合は
会社の履歴事項全部証明書(登記簿謄本) + 取締役であった期間中に施工した工事の契約書、注文書など
が必要になります。
ちなみに、取締役であった期間は、非常勤であっても経営経験として認められます。
つまり、名前だけ登記されている取締役であっても、建設会社の取締役である以上、5年以上の期間があれば認められてしまうのです。
この点は、非常に形式的で納得できない部分がありますが、実際に申請は通ります。
最後に、工事の契約書や注文書を保存していない、そもそも交わしていないと言われることがよくあります。
そういう場合は、『発注証明書』を用意してください。
群馬県のホームページでダウンロードできます。
この発注証明書に取引先から証明をもらえれば、工事の契約書や注文書がなくても実績の証明になります。
これを読んでもよくわからない!やっぱり難しそうだ!と言う方はご相談ください。