建設業許可は資格がないと取れないのか?【群馬県版】
国家資格か実務経験
建設業許可を取るには、営業所に常勤の『専任技術者』を置く必要があります。
専任技術者になるには、
・業種ごとに認められている国家資格
または
・実務経験10年(高校等の指定学科を卒業していれば短縮可能)
のどちらかがあれば良いことになっています。
なので、資格がないからといって、専任技術者になれない=建設業許可が取れないというわけではないのです。
実務経験の証明はすごく大変・・・
ただし、実務経験10年で専任技術者になるのはかなり大変です。
当然、「俺は10年以上この世界で働いてるから実務経験があるんじゃあ!」と言っても認めてもらえません。
この「10年」というのは、月数で数えます。10年は月数で言うと120ヶ月です。
120ヶ月間、工事に関わってきましたよ、ということを証明する必要があるのです。しかも書類で。
具体的には、実務経験証明書という書類があって、今までの現場を1件1件書いていくことになります。
たとえば大工工事の場合
✖✖邸大工工事 ✖✖万円 (工期)平成✖✖年✖月~平成✖✖年✖月✖日
△△邸大工工事 △△万円 (工期)平成△△年△月~平成△△年△月△日
・・・・・
というように延々と書いていきます。
この工期が合計120ヶ月以上あることが必要になります。
経験年数のカウントの仕方は次のようになります。
・工期が平成29年11月1日~平成29年11月30日 → 1ヶ月
・工期が平成29年11月1日~平成29年12月10日 → 2ヶ月
ただし、期間のダブりは認められないので、工期が重なった場合、ダブった期間を余計にはカウントしてもらえません。
たとえば、1月に2件工事をしても1ヶ月の経験にしかなりません。
さらに、実務経験が今の会社ではなく前職のものである場合は、前職の会社にハンコをもらわなければいけませんし、自社で実務経験を証明する場合、工事の裏付け資料(注文書、契約書など)を添付する必要があります。
このように、実務経験10年の証明はとても骨が折れます。
経験を積んだ行政書士でも正直ウンザリするような作業ですが、私はお客さんが喜ぶ顔を見たいので頑張れます。
実務経験が認められない業種もある
このように、資格がなければ実務経験で要件を満たすしかないのですが、実は業種によって実務経験での専任技術者要件を認めていないものがあります。
それは、電気工事業と消防施設工事業です。
建設業許可29種類の内、この2業種だけは国家資格者でなければ専任技術者になることはできません。というのも、建設業法ではない他の法律で、資格者(電気工事士、消防設備士など)を置かなければ業務ができないことになっているからです。
建設業許可って意外と取るの難しいんだな!と思ったら
経営経験の証明方法【群馬県版】
建設業許可に必要な経営経験とは?
建設業許可を取るためには、建設業の経営経験が最低5年以上ある人(経営業務の管理責任者)が必要です。
経営経験てナニ?というところですが、具体的には
・個人事業主(自営業)として建設業をしていた期間
・建設会社の取締役(監査役はNG)をしていた期間
のことをいいます。
個人事業主と会社の取締役の期間を足して5年でもOKです。(個人事業主を2年してから会社にして3年が経っているような場合)
建設業の『経営者』であったことが要求されるので、どんなに長く建設業界にいて現場のことを知り尽くしていたとしても、会社の『従業員』という立場であれば、経営経験はゼロと見られてしまいます。
例外的に、従業員であっても、ゼネコンの支社長や経営の補佐業務に就いていた場合は経営経験を認められる余地がありますが、あくまで例外です。
経営経験の証明方法
許可申請をする際は、口頭で「私は5年以上建設業をやってました」というだけではもちろんダメで、書面で経営経験を証明する必要があります。
具体的な例でいうと、
個人事業主としての経験がある場合は
5年分の確定申告書 + 確定申告と対応する期間に施工した工事の契約書、注文書など
が必要になります。
つまり、個人事業で建設業を5年以上やっていたとしても、確定申告をしていないとその期間は経営経験として認められないのです。
幸い、確定申告は5年前までなら遡って申告することができるので、資料などが残っていて申告ができるのであれば、今からでもすることをオススメします。ただし、所得が出ていた場合は、5年分の税金や国保税などがかかってきてしまうので、税理士さんとよく相談してから決めてください。
会社の取締役として5年以上の経験がある場合は
会社の履歴事項全部証明書(登記簿謄本) + 取締役であった期間中に施工した工事の契約書、注文書など
が必要になります。
ちなみに、取締役であった期間は、非常勤であっても経営経験として認められます。
つまり、名前だけ登記されている取締役であっても、建設会社の取締役である以上、5年以上の期間があれば認められてしまうのです。
この点は、非常に形式的で納得できない部分がありますが、実際に申請は通ります。
最後に、工事の契約書や注文書を保存していない、そもそも交わしていないと言われることがよくあります。
そういう場合は、『発注証明書』を用意してください。
群馬県のホームページでダウンロードできます。
この発注証明書に取引先から証明をもらえれば、工事の契約書や注文書がなくても実績の証明になります。
これを読んでもよくわからない!やっぱり難しそうだ!と言う方はご相談ください。
財産要件(一般許可)と残高証明書の有効期限【群馬県版】
今日は、前橋の業者さんの新規申請で群馬県庁へ行ってきました。
申請書自体は無事に受理されましたが、残高証明書で取り直しを依頼されてしまいました・・・。残高証明書で補正指導を受けたのは初めてだったので書いておきたいと思います。
建設業許可を取るのに必要な財産要件
建設業許可を取るには、一定の資金調達能力があることが必要です。
資金力が乏しく、すぐに資金繰りがショートして倒産してしまうような業者さんには許可を出せませんよ、ということになっているのです。
なぜなら、建設業許可を取ると請負金額の上限がなくなります。もし、業者がそれなりの規模の工事をやっている最中に倒産してしまったら、発注者にとんでもない迷惑がかかってしまうからです。
で、その『一定の資金調達能力』って何なのさ?というところなのですが、
500万円以上の自己資金があるかどうかで判断されます。
この500万円以上の自己資金があるかどうかを証明する方法は2つあります。
一つは、決算書。
決算書の貸借対照表という書類の『純資産の部』というところに数字が書いてあります。
この純資産の部の数字が500万円以上であれば、OKです。
もし、純資産の部が500万円以上ない、もしくはマイナスになっている場合(債務超過)は、NGです。
また、設立したばかりの会社で、決算を一度もしていない場合は、資本金が500万円以上であれば大丈夫です。
二つ目は、残高証明書です。
銀行に500万円以上の預金がある時点で残高証明を発行してもらいます。
ここでよく誤解があるのですが、常に預金に500万円以上プールしておかないとダメということではありません。(もちろん、その方が理想です)
あくまで、資金調達能力があるかを確認するだけなので、500万円の出所は、銀行借り入れであろうが、社長個人の貸し付けであろうが、工事の着工金でも何でもいいです。
とにかく、必要なときにウチの会社は500万円引っ張ってくることができますよ、ということが証明できればいいのです。
残高証明書の有効期限
ただし、残高証明書も昔のものではダメで、群馬県の場合は、証明日から1ヶ月以内となっています。
証明日から1ヶ月なので、『発行日からではない』ということに注意してください。
実は、今日はここで引っかかってしまったのです。
私はお客さんに、残高証明書は1ヶ月以内と有効期限が短いので(他の証明書類は3ヶ月以内です)必要書類の中でも一番最後に揃えてもらうようお願いしています。
ところが、お客さんは早々に残高証明を取っていて、書類を預かった時点で期限まで1週間しかありませんでした(土日を含むので実質5日・・・)。予定もびっしりだったのですが、なんとか間に合わせようとしましたが、私の誤解で取り直しになってしまったのです。
お客さんの残高証明書は7月6日時点の残高を証明していました。
残高証明書の発行日は7月7日です。
今日は、8月7日。
発行日からはちょうど1ヶ月でしたが、証明日からは1ヶ月以上経っていますorz
残高証明書の期限ギリギリで申請したのは今回初めてでしたので、今回の補正は勉強になりました。
やはり、申請は焦ってするものではありません。
ミスが増えれば補正も多く、許可証が発行される日がどんどん遅くなってしまいます。
くそ~、やっぱり補正を受けると悔しいです。